数年前までは、お盆休みに帰省し親や親戚や友人とごく当たり前のように会っていましたが、コロナ禍以降、以前ほど気軽にという訳にはいかなくなりました。当たり前だと思っていたことの、ありがたみや大切さを感じる今日この頃です。お盆の帰省には高速道路の渋滞や新幹線などの公共交通機関の混雑がつきものですが、最近はオンラインでのビデオ通話が一般的になり、帰省について帰る、帰らない、オンラインと選択肢が増え、便利な世の中になったものだと感じます。ただ、郷土料理、ふるさとの味といった、帰らなくては味わえないものがあるから、混雑しても渋滞しても帰省したくなるのかもしれません。置賜地方では夏場に食べる薄皮丸那須の漬物や秋頃の芋煮が地元ならでは、というところでしょうか。
帰るといえば、電気回路の電流も電源や信号源に帰ります。小学校の理科の授業の乾電池に豆電球をつないで光らせる実験では、豆電球から乾電池のマイナスまでの電流の帰り路(リターンパス)はわかりやすいのですが、部品点数の多い回路図ではリターンパスはグラウンド記号で省略されます。省略されても電流が帰ることには変わりはなく、電流がスムーズに元の場所に帰らないとノイズなどの原因になります。お盆の高速道路の渋滞のような状況ではまずいという訳です。しかし、電流は目に見えるものでもなく、回路基板のサイズやコストといった制約のため理想通りに設計するということもなかなか難しいものです。とりあえずグラウンドが繋がっていれば回路は動作してしまうため、リターンパスについて考えることを後回しにしがちです。電流も元の場所に帰るという当たり前の大切さ、重要性を意識して、その時々で最適な設計を心掛けたいと思います。【あ】